家系図を知るということは、自身を知るということです。そもそも家を何代も継承することは容易なことではありません。漫然と過ごせば家も企業と同様に滅びてしまいます。今ここにあなたがいるということは、先祖が苦労と努力を積み重ね、激動の時代を生き抜いて来た証です。家系図と歴史年表を併せて見ると、戦争、疫病、飢饉、天災など、さまざまな障害を乗り越えて来たことがわかります。
家系図は、我が家の歴史そのものであり、あなたにとってはかけがえのない財産です。家系を調べ家の歴史を知ることで、あなた自身がもっと誇りと自信を持てるようになるでしょう。
また、ご自分の子や孫には、「立派になれ」「勉強しろ」と叱るよりも、家系図を見せた方が効果的です。
子や孫は家系図の末端に位置するため、それを見せることにより、先祖から自分が生まれ、やがて未来へ繋がって行くことを自ずと悟り、責任ある行動をとるようになります。自分勝手になりがちな核家族の弊害を補ってくれるのです。
さらに、系図を調べる際に、墓、仏壇、過去帳など日常触れることのない先祖の記録を、細かいところまですべて調べ上げることで、古い墓石や位牌の主が明らかになり、図式化されるため、系図作成のプロセスは最高の先祖供養になります。先祖の故郷を知らない方は、その地を知り、お寺や疎遠になった親戚まで明らかになり、交流が再開する場合も少なくありません。時には親子兄弟との交流も円滑になり、感謝の声を寄せられることがあります。
家系調査というのは、家々によって大きく異なってきます。
どの”家”でも江戸中期以前の家系図を調べることが出来るというわけではありません。また、江戸期のご先祖の身分(士農工商)や居住地域(所属した藩など)、古い墓石や過去帳の有無、古記録・古文書類がどの程度整備・保存されているか等々の条件で、遡れる時代も大きく異なって参ります。
上記のような事情にもよりますが、ほとんどの方が5代~7代、江戸末期頃くらいまでなら遡ることができます。
一般には、過去帳の残っている時代までとなります。庶民の場合、家系調査に必要な資料の時代区分は、およそ次の三段階に分けることができます。
1. 明治時代~現在
戸籍・除籍・原戸籍謄本を遡って取得すれば簡単にわかります。もっとも古い除籍謄本には、幕末頃生まれた先祖が記載されており、その場合、その家は江戸時代の期間その村にあったと考えられます。戸籍には続柄が記されていますので、読み取って紙面に展開すれば5~6代の正確な系図が誰にでも簡単に作れます。
ただし、一部戦災などで焼失した地域があり、遡れない場合もあります。
2. 江戸時代
この時代には寺請制度があり、民衆はすべてお寺の檀家となっていました。幕府は先祖供養を奨励し、お寺では宗門人別改帳という戸籍のような台帳を作成していました。これは今となっては、ほとんど失われてしまいましたが、過去帳・位牌・墓・家などは残されていることが多く、戒名・没年月日・俗名・続柄・家紋などを知ることができます。分家の場合は、本家、そのまた本家へと遡ります。これで享保時代(1716~1736)頃まで残されていれば良好ですが、元禄時代(1688~1704)頃まで遡れれば万全といえるでしょう。戒名には俗名や続柄は併記されていない場合が多く、戒名から男女の別や大人と子供の分類はできますので、年代を分析しいわゆるシミュレーションで系図を再現します。この時代の資料の収集、判読、分析は調査員の腕の見せ所であり、系図の骨格を決める重要な部分になります。もちろん古文書類が残されていれば利用し、地誌も調べます。
3. 江戸時代初期より昔
庶民に先祖供養が定着したのは元禄時代頃ですが、それ以前はよほどの豪族でもないかぎり墓も過去帳もありません。運良くその家や地域に系図が残されていれば、中世の系図と繋がり源平藤橘へと遡れる場合があります。具体的な系図が残されていなくとも、家の由緒がある程度わかる場合が少なくありません。
苗字の分布、家紋、地名、人の移動、土地の支配関係など総合的に調べることになります。
位牌・過去帳・由緒書など古文書類が残されていれば、基本的には家系図を作ることができます。しかし、そのまま作成できるかどうかは、資料を拝見してから判断することになります。
家系図作成業者は近年たいへん増加しましたが、以下の事例を参考にしてください。
1. 明治時代以降の家系図を戸籍謄本類から作る場合
戸籍・除籍謄本類から家系図を作ってくれる行政書士事務所などがたくさんあります。この程度の家系図であればどこに頼んでも大差はありません。予算が合い、記述内容とデザインの気に入ったところへ依頼してください。
ただし、過去帳の戒名を併記するのなら、江戸時代の調査を手掛けるところへ依頼することをおすすめします。
2. 江戸時代以前の家系図を調査または作成する場合
江戸時代は、先祖の生、没年のどちらかを明らかにしない限り、系図の再現が困難です。今日、生年を記録した資料はほとんどありませんが、没年と戒名(法名)などは過去帳や墓などから調べることができます。
すべて没後の記録であるため、宗教的な側面があり、戸籍の続柄を頼りに家系図が描ける明治時代以降とは、次元が全く違います。つまり江戸時代の家系図は単なる‘物’ではなく、自ずと精神的な性格を帯びてくるのです。あなたが依頼する前に、その担当者に会うか、少なくとも電話で話してください。心から納得のいく説明が受けられる相手なら、あなたの先祖と相性がいい、ひとつの目安になるでしょう。
次に、技術的側面を確認してください。過去の調査報告書を見せてもらうのがいいでしょう。見るべきポイントは、その家や先祖についてほとんど論究せず、調査する家と直接関係のない村の神社や旧跡などについて紙面の大半を費やしているようなら、調査能力を疑った方がいいでしょう。
家系調査はご自分でできればそれが一番いいことですが、調べ方がわからない、時間が無い、正確に調べたいなどの理由で、結局専門家を頼らざるをえないのです。家系図の調べ方に関する書籍もいくつか出版されていますが、具体的な手法に言及したものがなく役に立たないことが多いようです。家ごとに状況も違いますので、個別に指導を受ける方がいいでしょう。ご自分で調べてみようというう方は一度ご相談ください。
お受けできます。天代家系譜では依頼を受ける調査の約一割が、過去に行った調査の再調査となっています。
天代家系譜では約40工程に及ぶ作業を積算し原価を設定しておりますが、大まかには「専門調査員の拘束時間+交通滞在費+表具・筆耕などの加工費用」で決まります。ご予算に合わない場合は、こちらから可能な方法を提案しますのでご相談ください。